内山奈月(AKB48)
南野森先生の講義を受けた2日間は、私にとってとても充実した、有意義な時間でした。
憲法には興味があるとはいえ、この時点でまだ高校生だった私に「憲法学」が理解できるのだろうか、ちゃんと聞き手が務まるのだろうかと最初は不安に思っていました。
でも、南野先生の興味深く面白いお話と、優しいお人柄のおかげで、講義には安心して楽しく取り組むことができました。
講義後のレポート作成では、自分の文章力・語彙力のなさを痛感しました。ノートを読み返したり、自分なりに調べてみたり、考えを深めてみたりするのは大変な作業でしたが、とても貴重な経験でした。
大学生になる直前の時期に、高校までの「与えられる勉強」から一歩進んで、「自分から求める勉強」の仕方を考えるきっかけになったと思っています。
この本の作成に関わらせていただいて、私は憲法をより身近に感じることができるようになった気がします。
私が所属しているアイドルグループAKB48の活動には、この憲法講義で学んだ内容と共通する部分がたくさんあるように感じたのです。
AKB48には、衆議院議員を選ぶ選挙と同じ名前がついた「選抜“総選挙”」があることは、皆さんにもよく知られていると思いますが、それだけではありません。
ネットや握手会を通じたメンバー・スタッフとのコミュニケーションによって、ファンの皆さんの意見を反映する「民主的正統性」を重視していること。ファンの皆さんの判断のたすけになるように、メンバーには SNSや握手会などでの「表現の自由」が与えられていること。これはAKB48グループの大きな特徴です。
憲法は、守らなければならない価値を守る保守性と、時代の流れに合わせてその意味を変えていく柔軟性とをあわせ持っている。私はこの講義を通じて、そう感じました。コンセプトを守りながら時代に沿って価値を高めていく私たちアイドルの活動と共通しています。
その意味で、AKB48にとっての「憲法」は「いつでも会えるアイドル」ということだと私は思います。
「いつでも」の解釈は、時代の流れと状況の変化のなかで変わって来ましたし、これからも変わっていくでしょう。
そうだとしても、メンバーの心と、ファンの方の心に根づいているこの素晴らしい「憲法」を守り、さらにその意味を深め、価値を高めるメンバーであり続けたい。そんなことを考えました。
私が憲法学の入門を通じて学んだことは、基礎・基本を理解し、守り、発展させることの重要性だったと思います。
最後に、親身に温かくご指導くださった南野森先生、鈴木初日さん、PHP研究所のみなさま、今まで私にいろいろなことを教えてくださった先生方、いつも応援してくださるファンのみなさま、そしてこの本を読んでくださった読者のみなさまに、あらためてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
もっともっと勉強して、次の機会にはもっともっと成長した私をお見せしたいと思っています。この本を出版するにあたり、私に貴重な機会をくださったすべてのみなさまに感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に、本当に、ありがとうございました。
2014年6月
(本書「あとがき」より)