定位置のバッグに収まり、いざ出陣!
という訳で、ドラマの舞台である熱海某所の路上にやって参りました。スタッフの方、大勢いらっしゃいますねえ。みなさん、格好はラフですがキビキビとした動きでカッコいいです
当たり前だろ、第一線で活躍するプロなんだから。やること半人前のクセに、服だの化粧だのにばっかり気を取られてる誰かさんとは大違いだ。ところで、今なにを撮ってるんだ?
緊張感が漂いながらも、活気に溢れた現場(奥の方で手を振ってくれてる人影を、よ〜く見ると・・・・・・)
和子と康雄、冬野が初めて揃う大事なシーンらしいですよ、って自分で『和子』とか言うの、変な感じ・・・・・・撮影見学の観光客や地元の方、結構いらっしゃいますけど、私が原作の主人公だって気づかれちゃったりして。えっへぇへっ
気味悪い声で笑うんじゃねえ。子どもが怖がるだろ。それに『私』じゃねえ、『私たち』だ
(無視して)あっ、監督さんが『カット』って言いましたよ。キャストの方々がこっちに来る!
こんにちは、森川です
ぎゃ〜〜〜〜っ! お目々クリクリ、お肌ピカピカ、体細〜い。つまり、超カワイイ!!
ぎゃあぎゃあ騒ぐな・・・・・・(森川さんに)よう。俺だよ!
とか言って、声がうわずってますけど?しかも私以外には聞こえない、って基本中の基本を忘れてるし
はじめまして、平岡です
ま、まぶしいっ!イケメンオーラで目がっっ!!原作の冬野さんの1億5000倍ステキ・・・・・・決めた。私、今すぐあのオタクと別れる。でもって、こっちの冬野さんとお付き合いを
落ち着けって!仕事で来てるんだぞ。レポートはどうした、レポートは
わかってますよ!・・・・・・すみません。2ショットを撮ってもいいですか? できれば、このクマを持っていただいて
喜んで。せっかくだから、僕のスマホでも撮ってもらおうかな(ポケットから取り出す)
じゃあ、私も
康雄さん、クマ冥利(?)に尽きます!
となれば、私も。プロデューサーさん、よろしく(3台のスマホを手渡し、2人の間に割り込む)
ちょっと待て。なに当然、ってツラで真ん中に収まってるんだよ! ・・・・・・後で写真を見て、絶対後悔するぞ。2人とも、その辺の美男美女とはレベルが違うからな。自分のブサイクさ加減を思い知らされて、泣きを見るのはお前だ。いひひひひ
うるさいなあ。なにをブツブツ言ってるんですか——あれ? 急に場の空気が変わった。なんで?
確かに。濃厚にして圧倒的、それでいて惹きつけられずにはいられないオーラ。これは
ま、まさか!!
(文:加藤実秋 / イラスト:浅野いにお)