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澤田瞳子著『火定』が第39回吉川英治文学新人賞候補にノミネートされました
公益財団法人吉川英治国民文化振興会主催による第39回吉川英治文学新人賞の候補作に、PHP研究所刊、澤田瞳子著『火定』(かじょう)がノミネートされましたのでお知らせいたします。
公益財団法人吉川英治文化振興会は、日本の典型的な国民文学作家として、広く読者に親しまれ尊敬されてきた、故吉川英治氏の偉業を記念して設立。昭和42年「吉川英治文学賞」「吉川英治文化賞」、昭和55年「吉川英治文学新人賞」、平成28年「吉川英治文庫賞」を創設、年に1度、選考・発表をおこなっています。
なお、本年の選考会は、3月1日です。
本書『火定』について
パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。
時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。
病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。
著者について
澤田瞳子(さわだ とうこ)
1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。2010年、『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年、同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。2012年、『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、第32回新田次郎文学賞受賞。2016年、『若冲』で第9回親鸞賞受賞。著書に、『腐れ梅』『秋萩の散る』『与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記』『夢も定かに』などがある。
★著者・澤田瞳子さんインタビュー