月刊「PHP」2025年2月号 裏表紙の言葉

世の中、何をするにもいろいろな理屈があるものだ。あらゆる物事に専門家、評論家がいて、解説したり、コメントをしたりしてくれる。

1枚の絵を眺める。この絵はなぜよいのか。誰の影響を受け、どんな工夫をして画風を築いたのか。

1本の映画を観る。監督、主演は誰、原作は誰のどの作品なのか。感動すべきはここ。ネタバレ注意。

1つの仕事、マニュアルはどっさり、覚えて行動、すぐ評価。けれども、本当はこの仕事、何のためのものだろう。

なるほど世間ではたくさんの理屈が、あらゆる疑問を封じ込めてくれる。従っていれば小さな誤りは起こさずにすむ。

ただ、その前に主体である自分はどうなのか。人はどうあれ、自分にとっては素晴らしい絵。気がつけば自分だけ泣いている映画。どうしてもやりたい奉仕、儲かってもつまらない仕事。理屈がついていかない。

そんな心中の不思議を正すのは、理屈抜きの自分の感性だけではないだろうか。私はやっぱりこれが好き。これでいい。理屈抜きの自分を大事にしてあげたい。

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