PHP研究所主催 2024年度文部科学省後援
第8回PHP作文甲子園 中学生最優秀賞受賞作
星河佑誠
愛知県海陽学園海陽中等教育学校1年
僕のたからものは、ゼットの軟式外野手用のグローブです。なぜかというと人生で初めてのグローブだからです。お店に入り、たくさんのグローブの中でデザインにひかれ、手を入れた瞬間、手が吸い込まれるようでした。そしてこのグローブは自分のためのものだと確信しました。
野球をしていないときでも、グローブにボールを挟んで型をつけたり、オイルを塗ったりして、手入れをしています。このグローブをつけているだけで、難易度の高いボールが捕れるかドキドキします。また、相手チームが満塁のときに先制させないように、素早く送球できる自分を想像してワクワクします。
さらに、グローブの匂いをかぐと、グラウンドの土の匂いやボールの匂いを思い出します。スライディングしながら捕球したときの土の舞う匂いや、間に合わないと思ったボールが捕れたときのおどろきと達成感を思い出し、早く野球をしたいという気持ちになります。
また、グローブをつけて、もう一方の手でたたくと勇気が出ます。「どんなボールが僕のところにきても捕ってやる!」という強い気持ちになります。フライやゴロがきても絶対にエラーできない、正しいポジションに送球しなくてはいけない、という責任感も出てきます。さらに、こんなに手になじむグローブをつけているから、ボールを確実にさばいて、アウトを量産できるだろうと安心するのです。
これほどにドキドキ感、ワクワク感、勇気、責任感、安心感を与えてくれるグローブは、僕のたからものです。このグローブがどんなに古くなっても、これからもずっとそばに置いて大切にしていきたいです。そして大きくなってこのグローブをつけたときに、今と同じ気持ちでいる僕のこともとても楽しみです。