PHP研究所主催 2023年度文部科学省後援
第7回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作
野倉士央
岐阜県岐阜東高等学校1年
僕は小学校4年生から6年生の約3年のあいだ、いじめを受けていました。
当時僕は塾に通っていました。僕は同級生たちの中で最初にその塾に通い始めたのに一番成績が悪かったため、そのことをバカにされていました。もともと勉強は得意ではなかったけれど、学ぶこと自体は好きだったのに、バカにされ続けてやるだけ無駄だと思うようになり、いつしか勉強をまったくやらなくなりました。そのせいで成績が下がり、親に怒られることが多くなりました。
何度か塾でバカにされていることを相談し、塾をやめたいと言ったけれど、勉強から逃げるための言い訳だと言われ、何も変わりませんでした。日に日に心はボロボロになっていき、5年生になるころには家でも学校でも塾でも、一人で何もせず、ただうつむいてばかりの日々を送っていました。
それからも塾でのいじめは続き、たまに殴られることもありました。当時の僕はこの先もずっと死ぬまで続くんだと思い、自分の人生をあきらめかけていました。いっそのこと死んでしまおうかと思ったこともありました。でも、いざベランダに立ったり、包丁を持ったりすると、足に力が入らなくなったり、手が震えたりして、実行することはできませんでした。
一度だけ学校で担任の先生に、つらいことがあるなら相談してほしいと言われたけれど、どうせ意味がないと思い、無視しました。いじめによるストレスと死への恐怖との板挟みになり、塾をやめる小学校卒業の日まで魂のない抜けがらのような状態になっていました。
約3年のあいだに一生分のつらい思いをしたんじゃないかと思うほど精神的にダメージを負い、性格まで変わってしまったけれど、それでも僕は今この世界で生きています。
そして、生き続けたら生き続けた分だけ、いいことにも巡り合うことができました。これからも僕はしぶとく生き続けて、いろいろな経験をしていこうと思います。