PHP研究所主催 2022年度文部科学省後援
第6回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作
于伊如
岡山学芸館高等学校2年(受賞当時)
私は今まで「結果も大事だけど、過程が一番大事だよ」と言う大人の言葉に対して、心の中で「そんなわけがない、過程が大事だとしても、最終的に評価されるのは結果なので、結果が一番大事だ」と思っていた。しかし、ある出来事をきっかけに私のこの考え方は大きく変わった。
それは、今年の春から夏にかけての私の苦く明るい青春の思い出だ。私は高校生になってダンス部に所属した。初めて上下関係がしっかりした部活に入り、新しい友達もでき、初めてのことだらけだったがすごく楽しかった。
二年生になった今年の春、大会に向けての本格的な練習は始まった。練習の中でメンバー選考があり、私はなんとかメンバーには入れたが、そこから始まったのは身体的にも精神的にもつらい練習の日々だった。
気がゆるみすぎて先輩を何回も怒らせてしまったり、先輩を泣かせたり、温厚な顧問を大会直前に怒らせてしまったりした。大会前、私たちは毎日のように泣いていた。しかし、先輩や顧問のおかげで、私たちダンス部の作品はひいき目抜きで受賞できる最高のものとなっていた。
そして大会では予選を通過。決選の前日、私たちのチームから発熱者が出た。コロナ陽性だった。私たちのチームは辞退を余儀なくされた。たくさん泣いた。最初は理解できなかった。したくなかった。
濃厚接触者として隔離中に、いろいろ考えた。結果は確かに多くの人に認められる材料となる。しかし、結果はただの結果だ。
それに対して、過程には、私たちダンス部が経験してきた思いがたくさん詰まっている。そのため、過程は密度が高く厚い。大人たちの言うことが少しわかった。思い出となるのは過程なのだ。いつだって、心に残る大切な思い出は過程なのだ。