第64回PHP賞受賞作
白石羽奏
鹿児島県・高校生・17歳
私は、幼いころから女の子の洋服を着たり、おままごとをして遊んだりすることが好きで、「男なんだから男らしくしなさい」と周りの大人から言われることが多くありました。当時はそこまで気にしておらず、いやだなあと思うくらいでした。
しかし、気持ちは変化していくばかりで、中学校に入学し、私は初めて「女の子になりたい」と思うようになりました。誰かに相談しようと思っても、「気持ち悪いと思われたらどうしよう」という不安のほうが大きく、一人で悩んでいました。
そんなある日、元気がない私を見て一番仲の良い友人が、
「どうしたの? 何かあった? 相談のるよ」
と優しく声をかけてくれました。その瞬間、今まで悩んでいたことを思い出し、涙が止まらなくなりました。私は、ゆっくりすべてのことを友人に話しました。
彼は私に、
「話してくれてありがとう。大丈夫だよ」
と、また優しく声をかけてくれました。
今では、周りの人にカミングアウトすることができ、たくさんの人に助けられています。しかし、理解してくれる人もいれば、逆に偏見や差別の眼を向ける人もいます。
実際、私もSNSなどで匿名で言われたことがありました。すごく傷つき、いつになっても忘れることはありません。
私は、この経験を通し、つらいことばかりかもしれないけど、理解して助けてくれる人が必ずいることを、すべての人に伝えたいです。
LGBTQの認知度は上がっていますが、受け入れてくれる人ばかりではありません。このつらさは、当事者にしかわかることのできないつらさです。
もし一人で抱え、誰にも相談できない人がいるなら、「一人じゃない」ということを知ってほしいです。
十人十色、性別も色と同じで組み合わせが自由なのです。いろいろな人が偏見や差別なく、笑顔で暮らせる世の中になってほしいです。