月刊「ＰＨＰ」2022年3月号 裏表紙の言葉
人はそれぞれどのように生きたいのか、あるいはどんなイメージで仕事をしたいのか。いずれもそれは、見ている風景に左右されよう。
組織でいえば、トップとナンバーツーでは見える風景はかなり違ってくるという。芸術家やアスリートの世界では、理想とする姿の違いが、発する言葉や行動の仕方を変え、実力の差につながっていく。
総じて成長する人は、より高みに立って世間を眺め、自分の立ち位置を考える。だから、分野を超えて一流の人同士は、同じように哲学的で高い志を持つというのもうなずける。
凡非凡によらず、人は自分の風景だけで物事を感じ、行動する。自己責任で、好きにやればよいといえばその通り。しかし、同じ国民、同じ社員、同じチームともなれば、より感動を味わえる同じ風景を眺めたいものである。
世界の大国の指導者が同じ宇宙船のクルーとなって、宇宙から国境のない地球を眺めたらどんなに痛快だろう。「これ以上の風景は、ほかにはない。おろかな争いをしている余裕はない」と思うに違いないのに。
