月刊「PHP」2021年12月号 裏表紙の言葉
一年という月日の長短にはいろいろな見方があろう。けれども、すべての生き物にとって成長したかどうかを測るには充分な長さである。草木であれば、発芽をすれば葉も繁り、幹は次第に太くなってゆく。
人の場合も、一年なら一年なりに心も身体も成長している。老いは衰退とも見えなくはないが、歳月を重ねて鍛えた信念と、学ぶ心さえ失わなければ、紛れもなく成長は続いていく。死に至るまで精進を忘れず、みずからの成長に無上の喜びを覚えられるところに、人間の偉大さ、美しさがあるのではないだろうか。
今年も混沌のまま一年が暮れてゆく。失敗をした、壁にもぶち当たった。それでも真摯に己を省みれば、成長のあとが認められよう。努力は嘘をつかないはずである。
来年もそうありたい。成長した自分に出会いたい。そこで大切なのは適切な目標を持つことであろう。
年の瀬に一年間頑張った自分を労り、成長のあとを確かめつつ新たな志を立てる。その気構えの先に真の生成発展の姿が待っている。