月刊「PHP」2019年11月号 裏表紙の言葉

「楽しすぎて時間の経つのを忘れる」「忙しすぎて時間が足りない」「きょうも一日、日が長い」。
ともすれば人は時間に対して様々な不平を言う。けれども、不平等だらけの世の中で、最も平等なのが時の流れであろう。
たとえば一日の長さは、世界中同じで、老いも若きも関係ない。天才も凡人も、富める人も貧しい人も変わりなく、しかも、過去も現在もやはり同じ。古代ローマの人々も、中国の皇帝も、現代人と同じ長さの一日を生きていたわけである。
それを時が経つのを早いと焦ったり、遅いと愚痴を言ったりするのは、人の勝手な受け取り方ではなかろうか。本来、時間を使う自分の心がけの問題であろう。
肝心なのは時間の支配者は自分だと自覚することである。活用法を工夫して、効率重視に徹したり、あえて何もしなかったりと、そんな実験もしてみればよい。試み次第では、有効な時間の使い方が新たに発見できるかもしれない。
常に充実した時を演出できる人でありたい。そんな"時の名人"ともなれば、人生も大きく変えられよう。