月刊「PHP」2019年3月号 裏表紙の言葉

この世の中に完全無欠の人などはいない。百年に一人の天才であろうとも、所詮人は人。言い換えればどんな人でも少しばかりは短所があろう。むしろあらを探せば、誰もがたくさんの短所と折り合いをつけながら生きているのである。

そう考えれば、自分の短所やコンプレックスにいたずらに心煩わす必要はあるまい。もしもそうした思いから抜け出せないのなら、冷静に自分を見つめ、事実をまずはそのまま受け容れることであろう。

そして次には短所を個性ととらえ、いかに長所に転換することができるかを模索すればよい。そもそも短所があることによって己を戒め、謙虚になることができるし、自己修養に努める姿勢にもつなげられるのだから。

春の訪れとともに、多くの組織や学校で新しい期が始まる。不安と期待が入り混じるなか、自分の短所をどこまで適切に処しきれるものか試してみよう。

真摯な努力さえ続けていれば、短所を克服したり、何かでカバーしたり、あるいは長所に変換したりしてきっと一皮むけることもかなうに違いない。