中山さんは、老若男女を問わず「一緒にいて楽しい」と言われるそうです。

中山庸子(イラストレーター・エッセイスト)

群馬県生まれ。女子美術大学、セツ・モードセミナー卒業。県立高校の美術教員を経て、イラストレーター・エッセイストとして独立。『夢ノート』シリーズがベストセラーに。近著に、『書き込み式 新 いいこと日記 2019年版』(原書房)。
 

「あなたと一緒にいると楽しい!」と言われることだけには自信があります。それは2歳の孫といるときも、89歳の母といるときもそう。なぜかと考えると、その人に合わせようとするのではなく、その人と合う部分を見つけるのが得意なのかなと思います。

私は、子どもでも高齢の方でも、どこの国の人でも、話をしていく中で、その人と合う部分を最初にリサーチするようにしていて、それで共通項が見つかって親しくなるということがよくあります。

以前、テニスをしていて「あの人とお友達になりたいな」と思った人がいたんです。

話をしているうちに「あ、この人はもしかしたら阪神タイガースのファンかもしれない!」

と感じました。実は私、熱狂的な阪神ファンなので、なんとなくわかったんですね。

それがわかればもう大丈夫! 好きなものの共通項が見つかれば、仮にその人がお蕎麦が好きで、私がうどん好きでも気にならない。

たいていのことはOKになります。

話をしながら相手のことをよく見ていると、その人の目が一瞬、輝くときがあります。その瞬間の話題は、その人が興味のある好きなことのはずです。それを知るためには、好きな食べ物を聞いてみるとか、女性ならファッションの話をしてみるとか。

そのうち、話の紐みたいなものが少し出てきて、それを引っぱると何かが出てくる。そういう意味で、共通項を見つけるには、観察力が大事かもしれません。
 

やりたいことのリストを作る

一緒にいて楽しい人というのは、自分ひとりでいるときも楽しめる人ではないかと思います。「誰かと一緒にいるときは明るく楽しそうだけれど、ひとりでいるときは暗い」というのではない気がしますね。

私の場合、人と一緒にいてなぜ楽しいかといえば、その人たちと別れて帰って、ひとりになったときも楽しみがあるからです。

だから、二次会や三次会にはほとんど参加しません。一次会で会うべき人に会って、美味しいものがあったら全部食べて、それで帰宅してから、録画しておいた野球やテニスの試合を、あたかも今始まったように見る。それがまた楽しいのです。

仕事以外で、ひとりでいる時間というのは、それはそれで貴重なので、やりたいことのリストを作っています。

たとえば、半日時間があって体調も良く、ちょっと出かけられるような気分のときは下町に散歩に行く。雨が降っている日には、観ようと思ってためていたDVD鑑賞をする。

友達に「絶対に泣くよ」と言われた作品なら、夫がいないときに観たほうがいいですからね。
 

元気なときにしか人と会わない

「いつも元気ね」と言われますが、それは元気なときしか人に会わないからです。

自分の体調が悪いときや楽しい気持ちになれないときは、自分で充電したりケアしたりしています。そうやって自分をあやすことをやっておくといいと思うんです。

大人になると他人はあやしてくれないものです。人にあやされたいと思うから失望するんです。気分が落ち込んだとき、くじけたときに気を取り直す方法やグッズがたくさんあるといいですよね。たくさんあれば、ひとつのことに依存しなくてすみますから。

私自身は35年間「いいこと日記」をつけています。

そこには基本的にいいことだけを書くのですが、自分の日記って、未来の自分が読者なんです。未来の自分を楽しませたり励ましたりする内容にする。ネガティブなことや失敗したことがあっても、それをどういうふうにケアしたかということを書いておきます。

仮に友達とケンカをしたら、「あ、前にも同じようなことがあったな」と過去の日記をめくってみる。そうすると、どうやって仲直りしたか、自分がどうやって謝まったかなどが書かれていて、すごく参考になるのです。だから私、あまり人に相談しないで自分で解決するのかもしれません。

人と一緒にいるときは特別な時間。だからこそ、自分のコンディションがいいときに会って、その瞬間を大事に楽しみたいですね。