月刊「PHP」2018年5月号 裏表紙の言葉

仕事でもプライベートでも、目の前に壁が立ちはだかったような困難が時に起こる。ことに原因が複雑で、何から手をつけてよいかも分からない場合は深刻である。

途方に暮れて、援助を求めたら、タイミングよくすぐさま誰かが助けに来てくれる、というのはフィクションの世界であろう。いくら一大事だと叫んでも、仔細を知っている人でない限り、協力者には成りえない。

結局、何を優先して困難を打開するかを判断できるのは、現実に直面している自分しかいないのである。だとすれば、まずは己自身で対処するのだと心を定め、粛々と事に当たるのが常道ではなかろうか。

一気に解決するべく無理をすると、また次の無理が生じてくる。どんなに入り組んだ難事難題であろうが、因果関係を丁寧に解きほぐしていくところに手だても見えてこよう。

一つひとつ。自分に為し得ることを着実に遂行することである。誠実に対応する姿勢に徹すれば、事態は必ず動いて展望も開けてくるに違いない。