月刊「PHP」2018年3月号 裏表紙の言葉
勉強であれ、仕事であれ、スポーツであれ、無我夢中で取り組んでいると時間を忘れることがある。やるべきことをただやるだけ。ふとわれに返ったときは気分爽快。伴う成果に思わず自分をほめたくなる。
自分の好きなこと、得意なことであればすぐに夢中になれる。まただからこそ好きなことはより好きに、楽しいことはいっそう楽しくなるのであろう。
ただ、世の中はいつも自分が好きで、得意なことを選べるわけではない。むしろ、時にはきらいで、苦手なことも強いられる。その至極当然の成り行きを不当ととらえたり、意気消沈したりしていてはいただけない。
勉強が苦手、仕事は退屈、体を動かすことは大きらい。そんな自分でもまずは雑念を払い、眼の前のなすべき物事に集中してみることである。そして無我夢中に取り組めたのなら、それは新たな楽しみの発見に違いない。
大切なのは「何をするか」ではなく「どのような心持ちでするか」ということ。無我夢中の境地を追求することは、充実の人生を味わうための一つの手段なのである。