月刊「PHP」2018年2月号 裏表紙の言葉
だれでも仕事や人生において突如、窮地に陥ることがある。〝なぜ悪条件ばかり重なるのか″〝こんなときに事故に遭うなんて″といった愚痴がついこぼれる。人生八十年、平穏のうちに過ぎればそれにこしたことはないけれど、そうはうまく運ばない。時に悲劇に見舞われるのも人生である。
劇と言えば日常、私たちはテレビや書物を通してたくさんのドラマを楽しんでいる。おもしろいドラマの条件は、主人公の目の前に高い壁が立ちはだかっていること。そして主人公が絶体絶命のピンチから脱出し、大逆転するところに気分爽快、ドラマの醍醐味を味わっているものである。
とすれば、現実に危機に直面したとき、これもまたドラマの舞台、自分をその主人公に見立ててみたらどうだろう。不屈の闘志で事態を打開できればまさにヒーロー、観客ではなく主人公としても極上の喜びを味わえるのではなかろうか。
嘆くのはほどほどにして前向きに。逆境こそ最高のドラマの始まりだととらえ、まずは主人公らしく、自分の足で立ち上がることから始めよう。