『PHP』は、企業での社員教育や社内のコミュニケーションのツールとしても活用されています。毎月『PHP』の輪読会が開催されている愛知県の会社を訪問しました。

〈取材・文:『PHP』編集部〉

愛知・アンシン建設工業株式会社を訪ねて

愛知県豊田市。名鉄名古屋駅から30分弱で知立駅に着き、そこから車で10分ほどの距離に、アンシン建設工業株式会社はある。
現在は取締役会長を務める創業者の原田信雄さんが、にこやかに迎えてくださった。社屋の一角がモデルルームになっていて、靴を脱いで上がらせてもらうと、木の香りが心地いい。無垢の床に漆喰や珪藻土の壁と、自然素材の家づくりがモットーだ。
創業は1973年。豊田市や刈谷市を中心に注文住宅や住宅リフォームを手がけ、その数は会社の半径5キロ圏内で400戸以上に及ぶ。多くが家を建てたお客さんからの紹介で、注文は絶えない。
どんな小さなことでも、お客さんから家のことで相談があれば、すぐに駆けつける。お客さんが集まるイベントなども定期的に開催し、好評だそうだ。「家を建てたら終わりではなくて、ずっとつながっている」という言葉が、原田さんのみならず、お客さんの口からも出るほど信頼が厚い。

『PHP』輪読会で社内のコミュニケーションが活発に

『PHP』の輪読会は、月に一度行なわれている。くじを引いて4人ずつのグループに分ける。今回は4人のグループが5つ。会長や社長の原田知弘さんも一員として加わる。おもに本社勤務の社員が参加するそうだが、この日は刈谷支店から来ている社員もいて、「ふだん本社にいるとあまり会う機会がない人とも話せました」と原田会長。
まずは記事の音読から。毎号一つ記事を選ぶそうで、今回は9月号の松本伊代さんのインタビュー「人と比べず焦らずマイペースに」。誰が読むかは決められておらず、挙手した人が順繰りに読んでいく。次々と手が挙がって、活気がある。
最後まで読み終えたら、グループごとに話し合う。記事の感想に始まり、自分の考えや、仕事での出来事など、話題は尽きない様子。記事に出てくる「マイペース」や「感謝、謙虚、笑顔」といったキーワードについて述べている人も多いようだ。中には失敗談や苦い経験を話す人も。相手の話をちゃんと聞く姿勢が徹底されていて、安心して話ができる土壌が整っている印象だ。終始なごやかな雰囲気で、しばしば楽しそうな笑い声もあがる。
最後に各グループから一人が前に出て、話し合ったことについて発表する。ほかのグループがどんな話をしていたかを聞くことで、発見があったり、異なる視点から物事を考えられたりするそうだ。
こうして、およそ一時間の輪読会が終了した。雑誌を作っている立場として、こうした形でも読んでもらえていることは本当にありがたいと思えた機会だった。


※本記事は、『PHP』2024年12月号に掲載されたものです。
※企業名・お役職は取材当時のものです。