『PHP』は、学校の現場でもご愛読いただいています。
今回はそんな学校の一つを訪問しました。
写真左から:草島校長、上田さん、松下さん、長田さん、瀧本先生(就職指導部)
大阪・興國高校を訪ねて
大阪・天王寺の私立男子校、興國高等学校。大正15(1926)年に商業学校として創設され、再来年に100周年を迎える。卒業生の数は37,000名を超え、現在の在籍生徒は約2,400名と、規模の大きな学校だ。
公務員の合格実績は全国ナンバーワン、民間企業への就職率も高い。近年は大学進学にも力を入れ、国公立大学の合格者も毎年100名を超え、7年連続で京都大学の現役合格者がいる。スポーツで活躍する生徒も多く、全国大会への出場や優勝を果たし、日本を代表するプロボクサーやプロサッカー選手などを輩出してきた。
この学校では、生徒や教員のみなさんが『PHP』を読んでくださっている。
部活や勉強、あるいは業務で忙しかったり、本を読む習慣がなかったりしても、「雑誌の記事なら短くて読みやすいし、いろいろな人の話が載っているから、何かしら自分にフィットするものがある」と話すのは、草島葉子校長。高校教員や一般企業での研修講師などを経たのち、祖父と父の跡を継いで学校法人興國学園の理事長に就任。改革を進めて人気校に成長させた立役者である。
『PHP』を読んで励まされたことも
この3月に高校を卒業して就職する3人の生徒さんたちが、顔を出してくれた。上田凜太郎さんは剣道部で、住友電工に就職が決まっている。剣道は三段の腕前とのこと。松下通義さんは硬式野球部でピッチャーを務め、就職先はJR西日本。サッカー部の長田大輝さんは、地元・愛知にUターン就職で、トヨタ自動車本社で働く。三者三様の個性がありながらも、健やかな印象は共通している。緊張しつつも一生懸命話してくれる姿から、素直さが伝わってきた。
勉強と部活と就職活動を並立させるのは大変ではなかったか尋ねてみると、3人ともが「ハードではあったけれど、スポーツも好きだったから続けられた」とのこと。就活の筆記試験や面接の練習は、就職指導部の先生が中心となって手厚く見てくれたのだそうだ。
何かをやり遂げた経験は、きっと仕事をするうえでも力になってくれるはず。「あの厳しい部活に耐えられたんやから、大丈夫!」と草島校長も太鼓判を押す。『PHP』を読んで励まされたこともあります、とも話してくれた。
今は読んでもピンとこなかった言葉が、1年後には腑に落ちるということもあるだろう。その逆も。それはきっと、自分自身が成長したから。春から新しい環境でがんばる彼らを心から応援するとともに、悩むときや背中を押してほしいとき、『PHP』を少しでも役立ててもらえたらと願ってやまない。
取材・文:『PHP』編集部
※本記事は、『PHP』2024年4月号に掲載されたものです。
※肩書は取材当時のものです。