株式会社山一地所 代表取締役会長 渡部志朗 様

仙台市で40年以上にわたり地域に根差した経営を続け、東北エリアでトップクラスの不動産業者に成長された山一地所様。清掃活動や地元の祭りへの協賛など、地域貢献にも熱心に取り組まれ、従業員の皆様をはじめ、東北被災地の学校へも「PHP」を贈呈いただいています。
創業者で会長の渡部志朗様に、これまでの会社の歩みや、「PHP」の贈呈活動に込めた地域への思い、子どもたちへの思いをうかがいました。

謙虚な心で歩んだ40年

最初に、創業当時のお話からうかがいました。

Q ご創業のきっかけからお聞かせください。

A 当社の前身は、千葉県にあった兄の会社が1971年に泉市(現・仙台市泉区)に設立した支店です。支店を出したものの振るわず、兄の会社は泉市から撤退しようとしていました。
しかし私は、泉市はこれから栄える、撤退はもったいないと思ったのです。私にやらせてほしいと名乗りを上げ、支店を引き継いで開業したのが1975年のこと。私がやると宣言したからには、自分の力でやり遂げなければ意味がありません。兄の会社とはまったくの別会社として甘えを断ち、背水の陣を敷いてのスタートでした。

Q ご創業後はいかがでしたか。

A 資金も人脈もなく、4人ほどの社員に給料を払っていくため、毎日ひたすら頭を下げていました。謙虚さがなければ、あの日々を乗り切るのは難しかったでしょう。
早くに母を亡くし、9人きょうだいの中で育った私は、我慢強さと謙虚さを、おのずと身につけていたのかもしれません。幼少期に生きるすべとして学びとった謙虚さは、そのまま現在に至るまでの、私の経営における基本姿勢となっています。

Q 創業者の心のありようが、会社を存続させていくための芯になったのですね。

A そうですね。会社を成り立たせるのは、やはり人の心です。経営者や従業員一人ひとりが謙虚さ、素直さ、思いやりを持つことが、商売の土台になります。心がなければ、もうけたお金を生かすこともできません。得た利益をさまざまなかたちで地域にお返しし、地域の発展とともに成長していく。それが私の考える、成功した会社の姿です。
朝礼などの場で、こうした話は従業員に繰り返し伝えています。また、人の心を学んでもらおうと、全従業員に「PHP」を毎月送付しています。

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地域貢献活動の一環に「泉区民ふるさとまつり清掃」に参加された社員の皆さん

よりよく生きるすべを教えてくれる「PHP」

続いて、「PHP」の感想や東北被災地への「PHP」の贈呈活動についてお聞きしました。

Q 従業員の皆様にお送りいただいている「PHP」について、ご自身はどのような感想をお持ちですか。

A 読み手の心を浄化し、やさしい気持ちを取り戻させてくれる話がたくさんありますね。特に、苦労話は心にしみます。ふと読んでみたくなる手軽さもいい。誰かに押しつけられるより、自ら手に取って見つけた言葉のほうが心に残りますから。
今の世の中を見ると、心が失われつつあるように感じます。大人が余裕をなくし、そのしわ寄せが子どもにも及んでいるのでしょう。「PHP」は、そんな現代社会に、切実に必要とされている雑誌なのではないでしょうか。

Q 東北被災地の学校にも「PHP」をご贈呈いただいています。

A 子どもたちが心を学び、人生の成功者になってくれたら......と願ってお贈りしています。成功者とは、金もうけがうまい人のことではありません。人としてすぐれた生き方をした人間こそが、後世に影響を与えます。
思いやりややさしさといった、よりよく生きるすべを学べる「PHP」。そのメッセージが学校や家庭に浸透していけば、社会はじわじわと、でも確実に変わっていくでしょう。私たちの贈呈活動が、その一助となればうれしく思います。

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 「『PHP』には心の浄化作用があります」と語られる渡部会長様

子どもの社会性が育つ場所づくりは、大人の責任

最後に、これから地域貢献として取り組まれる予定の活動についてお話しいただきました。

Q 今後、予定されている地域貢献の取り組みはございますか?

A 今実現を目指しているのが、地域の小中学生や高校生の学習と生活、そして心の成長を支える「放課後自由塾」です。そこに来れば仲間がいて、食べ物もある。学生さんや退職した先生がいて、勉強や社会常識を教えてくれる。お坊さんや牧師さんの話も聞ける。そんな現代版寺子屋です。
単なる知識にとどまらない、生きるすべを学べる「智育」の場を、当社の出資でつくりたいのです。本棚には「PHP」も置きたいですね。持ち帰って、親御さんと一緒に読んでもらいましょう。

Q 子どもの教育支援に携わりたいと考えられた理由は何でしょう。

A 今の子どもが育つ環境には、人とのつながりが乏しいのではないかと感じているからです。私が子どもだった頃は、大きい子から小さい子まで集まって、悪さをすれば叱られ、年下の子の面倒をみる中で、物事のよしあしや社会性を学んだものです。今の子どもたちがそうした場を失っているなら、カバーするのが大人の責任です。

Q そのための一石を投じようとされているのですね。

A 最初な小さな教室でも、とにかく始めれば、志を同じくする人が集まり、同じような塾が全国に増えていくかもしれません。子どもたちに愛情を注ぐ支援の輪が社会全体に広がることを願い、これからの自分のライフワークとして取り組んでいくつもりです。

 



インタビューにご協力いただいた山一地所様、ありがとうございました。

※企業名、お役職は取材当時のものです。

【会社概要】

社  名  株式会社山一地所

設  立  1975年1月

業  種  不動産業

代 表 者  代表取締役会長 渡部志朗 様

従業員数  113名(グループ会社含む)

所 在 地  宮城県仙台市

U R L  http://www.yamaichi-j.co.jp/

記事作成日:2019年2月22日