桜風堂書店のある桜野町に続く道。そこには不思議な奇跡が起こる噂があった。
シリーズ最新作『桜風堂夢ものがたり』は、主人公月原一整を取り巻く登場人物ひとりひとりの物語が綴られたオムニバスです。
第一話「秋の怪談」
桜風堂に月原一整がやってきたことで救われた少年・透。彼は友人たちと、町外れにある「幽霊屋敷」に冒険に出かけるのだが……
第二話「夏の迷子」
一整のかつての上司、銀河堂書店の優しい店長・柳田。彼は桜風堂書店を訪ねた帰り道で迷子になる。不安に襲われた彼に語り掛けてきた声とは。
第三話「子狐の手紙」
一整のかつての同僚、三神渚砂は桜風堂へ向かう途中、両親の離婚でもう何年も会っておらず、今は病床にいるはずの父と出会う。
第四話「灯台守」
かつて家族と哀しい別れをして天涯孤独の一整。しかし、彼と暮らす猫は、ずっと一整のことを見守っている人物の気配に気づいていた。
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラひめのぼうけん』(フォア文庫)、『コンビニたそがれ堂』『はるかな空の東』『ルリユール』『天空のミラクル』(以上、ポプラ文庫ピュアフル)、『アカネヒメ物語』『竜宮ホテル』『花咲家の怪』(以上、徳間文庫)、『春の旅人』(立東舎)、『百貨の魔法』(ポプラ社)などがある。
百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手なものの、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件が思わぬ顛末をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なくなる。傷心を抱えて旅に出た一整は、以前よりネット上で親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるために、桜野町を訪ねる。そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていた。そして、一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になってある奇跡を巻き起こす……。
読んで真っ先に思ったのは、私達は本屋をあきらめない。本のある世界に生まれて来てよかった! 本を愛する全ての人に届きますように。
山田恵理子 うさぎや矢板店
この小説には、書店を取り巻く厳しい現実が描かれている。けれど、それ以上に、本を愛する人たちの強い熱意と想いと希望が描かれている。
竹村真志 三省堂書店神保町本店
「一緒にがんばろう」と「仲間はたくさんいるよ」と言われているようなそんな感覚を感じさせてくれる物語です。
奥山由子 戸田書店静岡本店
物語の世界の中で起こった奇跡が、現実の世界で奮闘している多くの書店にも起こりますように。
峯森和代 SuperKaBoS鯖江店
こんなに幸せな気持ちになれるなんて、書店員をやっていて本当に良かったです。
小椋さつき 明屋書店厚狭店
ただ悲観してばかりではいられない、今私がやれることを頑張ろう!と勇気ももらえました。
伊東佳子 ラフレ書店
子どものころ、本屋という場所はまるで夢のようでした。『桜風堂ものがたり』を読んでいると、あの懐かしい場所を思い出します。
波多野彩夏 書店員
村山早紀先生ありがとう。明日も背筋を伸ばしてレジに立ちます。
C.U 水嶋書房金剛店
田舎町の本屋と、ある書店員の身に起こった奇跡を描き、全国書店員の共感を集め、2017年本屋大賞5位になった『桜風堂ものがたり』。その続編の登場です!
郊外の桜野町にある桜風堂書店を託され、昔の仲間たちとともに『四月の魚』をヒット作に導いた月原一整。しかし地方の小さな書店であるだけに、人気作の配本がない、出版の営業も相手にしてくれない、という困難を抱えることになる。そんな折、昔在籍していた銀河堂書店のオーナーから呼び出される。そのオーナーが持ちかけた意外な提案とは。そして一整がその誠実な仕事によって築き上げてきた人と人とのつながりが新たな展開を呼び、そして桜野町に住む桜風堂書店を愛する人たちが集い、冬の「星祭り」の日に、ふたたび優しい奇跡を巻き起こす。
今回も涙は流れるかもしれません。しかし、やはり悲しい涙ではありません!