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『第2回 ラストで君は「まさか!」と言う』文学賞 受賞作発表
2024年7月25日から12月31日まで作品投稿を受け付けておりました『第2回 ラストで君は「まさか!」と言う』文学賞、最終選考の結果を発表いたします。
(敬称略)
◆大賞
賞金10万円+2025年9月発売のシリーズ最新刊に作品を掲載
『賢いきみへ』 高遠みかみ /投稿部門:恋愛部門
◆優秀賞
賞金5万円+2025年9月発売のシリーズ最新刊に作品を掲載
『借入カード』 見坂卓郎 /投稿部門:ホラー部門
◆優秀賞
賞金5万円+2025年9月発売のシリーズ最新刊に作品を掲載
『たった一つの願い』 星野真奈美 /投稿部門:泣ける部門
◆優秀賞
賞金5万円+2025年9月発売のシリーズ最新刊に作品を掲載
『無料モニター』 蜂賀三月 /投稿部門:ホラー部門
結果講評
このたびは『第2回 ラストで君は「まさか!」と言う』文学賞に、たくさんの作品をご投稿いただき、誠にありがとうございました。
応募総数1,158作の中から最終選考に進んだ作品は、次の10作品でした。
●ホラー部門
【1】『最後の一言』 二十六時
【2】『九死に一生アイドル。』 雪月海桜
【3】『借入カード』 見坂卓郎
【4】『無料モニター』 蜂賀三月
●恋愛部門
【5】『花の舞う日々を共に。』 雪月海桜
【6】『賢いきみへ』 高遠みかみ
【7】『君の光は特別で』 荒井 遊心
●泣ける部門
【8】『たった一つの願い』 星野真奈美
【9】『爺ちゃんの寄り道』 高瀬 奈々
【10】『夕色のチケット』 葉野亜依
いずれもクオリティが非常に高く、若い読者の心に残るであろう「どんでん返し」の結末がしっかり用意された良作でした。
児童書出版部の編集者6名が厳正なる審査をおこない、この10作の中から大賞作品と優秀賞作品を決定させていただきました。
◆大賞 『賢いきみへ』 高遠みかみ /投稿部門:恋愛部門
「縦に長く薄っぺらなモニター」に映った「AIのユイ」が転校生としてやってきた、とあるクラス。最初は興味津々だったクラスメイトたちも、単調な受け答えしかできないユイにたちまち興味を失い、ユイに話しかけるのは男子生徒・酒井だけに。酒井は会話のコツを根気強くユイにアドバイスし続け、やがてユイはクラスの人気者になりますが......。終盤で明かされるAI・ユイの秘密、そしてその先の結末は編集部の誰も予想できないもので、それでいて説得力のある感動的な締めくくりになっていることを高く評価しました。ユイと酒井のキャラクター性も絶妙で、ふたりの今後に思いを馳せる読者も多いはず。『賢いきみへ』というタイトルも、作品を読む前と読んだあとではまったく違った印象になり、最初から最後まで丁寧に構成された素晴らしい作品でした。
◆優秀賞 『借入カード』 見坂卓郎 /投稿部門:ホラー部門
図書館が大好きな麻衣は、貸出カウンターの奧に「借入カード」があることに気づく。図書館が利用者に"本を貸す"のとは逆で、図書館が利用者から"何かを借りる"ためのカードで、図書館は利用者が望むものなら「なんでも借りてくれる」らしい。麻衣が手始めに「ひどい点数の算数のテスト」を図書館に借りてもらうと、麻衣の母親は「テストの返却があった事実」すら忘れてしまい......。図書館を舞台に「借入カード」という奇妙な設定を上手く組み込み、ゾッとするラストまでぐいぐいと読ませる力のある作品でした。主人公はどこにでもいるようなごく普通の女の子だからこそ、家庭と図書館の両方から追い詰められていく展開に胸がつまります。日常系ホラー作品として抜群の怖さがあり、高く評価しました。
◆優秀賞 『たった一つの願い』 星野真奈美 /投稿部門:泣ける部門
学校に行かなくなり、自分の部屋に閉じこもってオンラインゲームばかりして過ごす主人公のらら。ららはゲームを通じて「リーベ」というハンドルネームのプレイヤーと仲良くなりますが、やがてリーベの正体に気づき......というお話。リーベがららに投げかける何気ない挨拶の言葉から物語は始まりますが、この挨拶に込められた意味にラストで気づき、「そういうことだったのか......」と強く心を揺さぶられました。ららが学校に行かなくなった理由や、ららとリーベのゲーム内のやり取りがリアルで、若い読者も共感しながら読み進めることができると感じます。ららの独白を通して、読者に対して種明かししていくテクニックも鮮やかでした。
◆優秀賞 『無料モニター』 蜂賀三月 /投稿部門:ホラー部門
友人グループの話題についていくのに必死な小学6年生のシュウ。家族共用のパソコンでは、動画サイトや最新情報を四六時中チェックするわけにもいかない。困っていたところに、あやしげな訪問販売員がやってきて「最新のタブレット"スコーン"」の無料モニターになることを提案され、飛びついてしまいますが......。「不思議なアイテム」が登場するお話は、若い読者向けの小説では定番になりつつありますが、アイテムのユニークさ、便利さ、そして何より「使用ルールを守らなかった場合の、怖さ」が抜群で、作者のセンスが光る作品でした。
以上、受賞者のみなさま、おめでとうございました!
受賞作品は2025年9月発売予定の『ラストで君は「まさか!」と言う』シリーズ最新刊に掲載されます。ぜひご一読ください。
補足:選考過程について
第1回文学賞では一次選考・二次選考の後に最終選考を行いましたが、本賞(第2回ラス君文学賞)では三次選考の後に最終選考を行いました。
以下、二次選考の結果です。
●【ホラー】部門
(投稿数539作/一次通過数78作/二次通過数21作/三次通過数4作)
⇒一次選考通過作はこちらをご覧ください
⇒二次選考通過作(★印は三次通過作)
『涙』否垣ミヤコ
『実の母親にオレオレ詐欺と間違われた男』丸子稔
『マコちゃんと椿さん』香秋ちひろ
『最悪な日』南ミコト
『死人に口無し...』甲斐 賢祐
★『最後の一言』二十六時
『イレース機能。』雪月海桜
★『九死に一生アイドル。』雪月海桜
『願いごとの条件は』水街みと
『通学路探偵と幽霊日記』能見心露
★『借入カード』見坂卓郎
『彼岸の今』ならみ ふきえ
『人魚の血』夏野 青
『願いを叶える幽霊』夏野 青
★『無料モニター』蜂賀三月
『明日の天気』 内田 ちなみ
『おどりの絵』石原 三日月
『ドコカ』ひがひつじ
『笑顔の街』益久渡来多
『三十五人目のミツコちゃん』まさつき
『幽霊は無視しなさい』橘花やよい
●【恋愛】部門
(投稿数308作/一次通過数34作/二次通過数8作/三次通過数3作)
⇒一次選考通過作はこちらをご覧ください
⇒二次通過作(★印は三次通過作)
『ウソから始まる恋もある』響ぴあの
『【ガチ恋】をお許しください!』真碧マコト
『君とすれ違う瞬間に』奥原ユキ
★『花の舞う日々を共に。』雪月海桜
★『賢いきみへ』高遠みかみ
★『君の光は特別で』荒井遊心
『寝違観音』円山 なのめ
『恋は難問』橘まさみ
●【泣ける】部門
(投稿数311作/一次通過数47作/二次通過数13作/三次通過数3作)
⇒一次選考通過作はこちらをご覧ください
⇒二次通過作(★印は三次通過作)
『夜の猫と謎の花』floriography
『マル・マイ・ディア』久保田毒虫
『サクラが咲く頃に...』ごまショコラ
『つまらない映画』夏至肉
★『たった一つの願い』星野真奈美
『タイムスリップレター』響ぴあの
『いつもそばにいてくれてありがとう』三峰キタル
『放課後とビー玉。』雪月海桜
『女天狗の認知度は今日も上がらない』あおやまままさし
★『爺ちゃんの寄り道』高瀬 奈々
『死者に会える秘密のメニュー』柚月しずく
『魂のアルバイト』宮沢早紀
★『夕色のチケット』葉野亜依
※部門不明の投稿作5作(郵送分)は選考対象外となりました。