玉坂 恵
(たまさか めぐみ)
四谷のしんみち通りにあるおでん屋「めぐみ食堂」の女将。以前は占い師として活躍したが、今はささやかな力で人と人との縁を結ぶ手伝いをしている。
男性はセレブ、女性は美人ばかりの結婚相談所で出会った二人。だが女将の恵には、男性の背後に黒い煙のような不吉な影が見えて……。
「めぐみ食堂」で出会った二人。常連客同士、会話を交わす仲だったが、ある時から恵の目には、男性の背後に女性への好意を示すオレンジ色の光が見える。
女性の母親が「めぐみ食堂」の常連という縁で、コミュニケーション能力を向上させるため、恵の仲立ちで銀座のクラブでホステスのバイトをすることになった女性。そこで出会った男性と結婚を考えるようになるが、母親は大反対し……。
女性が勤める病院に、検査に訪れた元同級生の男性。死別した妻と親友だった彼女は、男性を「めぐみ食堂」に誘うが、恵は彼の健康に陰りがあることを感じ取る。男性に惹かれている彼女に、恵は別れたほうが良いとアドバイスをするが……。
〈材 料〉4人分
トマト4個
おでん出汁適宜
〈作り方〉
トマトを湯むきしたらおでん出汁でさっと煮て、汁ごと冷蔵庫で冷やしておく。
☆おでん出汁は鰹節・昆布・酒・塩・醬油で作っても良いし、時間がなければ市販のだしの素をお湯で溶いてもOKですよ。
〈材 料〉4人分
白瓜2本
はぐら瓜は小さめのものを2本
茗荷6〜8個
大葉20〜30枚
塩適宜
〈作り方〉
(1)瓜の両端を切り落とし、スプーンなどで種をくりぬく。
(2)茗荷を一個ずつ大葉で巻き、塩をまぶして瓜の中に詰める。詰められるだけぎゅうぎゅうに詰めた方が美味しい。
(3)瓜を容器に並べ、重石をして漬ける。水が上がってきたらOK。
☆二日漬ければ爽やかな浅漬けが、一週間漬けるとかなり酸味が強い、ぺしゃんこの古漬けになる。漬け加減はお好みで。
☆好みの漬け具合になったら、容器から出して洗い、タッパーに保存しておけば、それ以上酸っぱくなりません。
〈材 料〉4人分
里芋(大)12個
ピザ用チーズ適量
大葉10枚
サラダ油・醬油適宜
〈作り方〉
(1)鍋に湯を沸かし、泥を落とした里芋を入れて5〜10分茹でたら、ザルにあけて水をかける。こうすると皮が簡単に剝けて、手が痒くならない。
(2)里芋を厚さ1センチの輪切りにする。大葉は千切りにする。
(3)鍋にサラダ油を馴染ませ、里芋を並べて表面に焼き色が付くまで焼いたら、裏返してピザ用チーズを振り、醬油をかける。チーズが溶けたら火を止めて大葉を散らす。
☆チーズの代わりにバターを載せても美味しいですよ。
調理協力:ヒビヤセントラルマーケット「一角」
現代は結婚難の時代です。五十歳時点で独身の方は男性で四人に一人、女性で七人に一人。この状態が将来改善されるかどうか、誰にも分かりません。
だからこそ、男女ともに自分で料理を作れるようになりましょう。確かにコンビニも外食産業も発達していますが、毎日それに頼っていると、飽きてきます。
私がお勧めするのは鍋料理です。好きな材料を入れて煮るだけで完成です。野菜やキノコを入れれば栄養バランスもばっちり。鍋の汁やつけ汁は市販のものを利用すれば簡単。そこにご自身の好きな調味料をプラスすれば、オリジナルの完成です。
特におでんは良いですよ。私がどうして『婚活食堂』のヒロインをおでん屋の女将に設定したか? それは市販のおでん種でできるので、素人でも大丈夫と思ったからです。
鍋は一人でも二人でも家族でもグループでも、人数を選びません。お酒もビールからチューハイ、日本酒、ワイン、何でも合います。
皆さん、一人で、友達と、あるいは恋人と鍋を囲みましょう。そして美味しいお酒を飲んで、明日への英気を養って下さい。
1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『バナナケーキの幸福』『風待心中』『いつでも母と』などがある。