井上香織先生。よろしくお願いします。

　以前に紹介で知り合った男性がいました。

　付き合うことになったものの、こちらから電話しても、5分後に電話してと言われ、言われた通り電話しても、つながらない状況の繰り返しでした。

　その後、彼から「忙しいからしばらく会えない」と言われ、私の方から紹介してくれた方に、もう連絡はとらないことにしたと伝えました。

　それから何年かの時が経ち、紹介者から、二人とも独身だからもう一度会ってみないかという話がありました。

　しかしながら、私の方は会ったらまた嫌な思いをするだけと思い、会うのをためらっていました。

　その時、彼から電話があり、私はこの3日間は忙しいからと（本当に忙しかった）会うのをためらっていましたが、「時間が無いのはお互い様」という彼の言葉に丸め込まれて、私の方は紹介者の顔をたてるだけのつもりで会うことになりました。

　どうせ、嫌な思いをするものと思い、おしゃれさとは無縁の服装で彼と再会しました。

　そのとき、彼から「きちんと付き合って欲しい」と言われました。

　それを聞いた時、私は彼の言葉を疑いつつも、とまどってました。

　そこで私は、「なぜ以前は冷たかったのか？」と聞いたところ、「一度に二つのことが出来ないから」と返事がありました。

　これも疑わしく聞いてはいましたが、以前とはうって変わり、まめに連絡してくるようになったので、再会して十数か月経った頃には、私も彼ときちんと付き合おうと考え始めました。

　その矢先、彼から旅行に誘われました。

　私は、彼ときちんと付き合おうと思ったものの、2人で旅行に行くのは早すぎると断りました。

　すると、再び連絡が少なくなり、先日、「忙しくて今は90％仕事でいっぱいなんだ。どんどん新しいことをしないと、よそにやられるんだ」と言われた後、連絡が全くありません。

　最後に会った日は、彼の友人とも会うことにもなってましたが、それも今日は時間がないからということで無しになりました。

　その友人とは数日前に会っているんです。

　最近では、本当に忙しいだけかしら？と再び思ってます。

　実は体目当てだったのかと思ったり、本当に、一つのことにしか集中できないのか、釣れそうな魚にはエサはやらないタイプなのか、私の携帯番号を数年前から消さずに残していた（紹介者から後で聞きました）のは彼がずぼらなだけとも思ったりもします。

　ちなみに私は「いた電」と名前とつけて残してました。

　男性が女性と連絡をとらなくなるのは、拒絶を意味すると聞きます。

　いざ、自分のことになると、彼を信じて連絡を待とうかどうか迷ってます。

（31・女性・会社員）

　あなたの深刻なご相談に、何らかの答えを見出すべく、送ってくださった「ご相談」を何回も読み直しました。

　〔ごめんなさい。一般読者の方にも読んでいただくため、多少、手直しをいれました〕

　あなた自身ももう一度、自分の書いた文章を冷静に読み返してみると、わかるかと思いますが……。上記の文章には、彼に対するあなたの猜疑心が見え隠れしているように私には感じられました。

　どんな状況であれ、何かひとつのことに向かって、ひたむきに頑張っている男性の姿はとても魅力的だったりします。

　ときには、徹夜仕事に追い立てられ、つきあっている大切な彼女に一日、わずか数分の電話をかける心の余裕すらないときだって確かにあります。

　けれど、いくら90％の精力を仕事に傾けているとはいえ、再会してから一年近く続いていた連絡が、ぷっつり途絶えるというのは、やはり彼の中に何らかの心の変化があったのではないかと私は思います。

　「男性が女性と連絡をとらなくなるのは、拒絶を意味すると聞きます」――と、あなたは書いていましたが、それはある面、正しいのかもしれません。

　彼が本気であなたを愛しているのだとすれば、旅行の誘いを「まだ早すぎるのでは」と断られ、多少は傷ついたとしても、それくらいで即・撤退はしないはずです。

　彼が本当に仕事に忙殺されているとしても……深夜、疲れ果ててひとり暮らしの家にたどり着いたとき、たとえ数分でもあなたの声を聞き、ちょっと仕事の愚痴をこぼしたりして癒されたいと思うものなのではないでしょうか？

　あなたは今後、彼からの連絡を待ち続けるかどうか、迷っていらっしゃる様ですが、冷たくあしらわれた今までの経緯もあり、これから再びきちんと信頼関係を築くのは、やはり難しいのではないかしらと私は思います。

　仮に、彼からの連絡が再開したとしても、また「仕事が90％なんだ」という理由を振りかざし、音信不通になってしまう可能性もあります。

　そのたびに、あなたは疑心暗鬼に陥り、傷つけられてしまうような気がします。

　わだかまりを残したまま、彼とつきあい続けることになったとしても、そこに幸せな“未来予想図”は描けないのではないかしら……？

　〔もし、結婚に至ったとしても、「一度にふたつのことができない」性格の彼が家庭を大切にしてくれるとは考えにくかったりします〕

　“紹介者”の影がちらついているということは、おそらくご両親はあなたの結婚を楽しみに待ち望んでいらっしゃることと思います。

　けれど、あなたはまだ31歳。また、仕事も順調なご様子。

　この先、心から信頼できる男性との出逢いがあるかもしれません。

　あなたの中に、彼に対する愛情……生涯を供に生きてゆくという覚悟……はどれくらいあるのか、もう一度、考えてみてはいかがでしょうか？

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