井上香織先生。ご相談させていただきます。

　49歳女性、会社員、バツイチ、子供1人（学生）有りです。

　10年前に離婚し、その後勤めにでて、子供を育ててまいりました。子供もあと2年で卒業になった昨年、私も是非その後の人生をともに歩める方を見つけたい思いもあり、紹介でひとりの男性とお付き合いを始めました。

　価値観も近いものがあり、また非常に誠実で安心できる方で、1年以上毎週出先でお会いし、デートする状態が続いております。（ご自宅へは伺ったことはありません）

　彼は奥様を13年前に癌で亡くされ、子供さん2人を育てられ、ご長男(28歳）は既にご結婚され、ご長女(26歳）もあと2年ほどで2度目の学生生活を終えられる予定です。

　私としてはこのままお付き合いさせていただき、子供さんが卒業されてから、私たちの結婚の事を考えていただけると嬉しいのですが、彼は子供の気持ちを考えると母親のイメージをそっとしておきたいのだそうです。

　付き合いはずっと続けたいし、一緒に暮らすことは考えるが、結婚の事はなりゆきでとはっきりしません。

　亡くされた奥様への思い、子供さんの反対、また遺産相続等諸問題があるのかと遠慮して踏み込んで聞くことは難しいのが現状ですが、私の方は、はっきり言えない事がお返事なのか、煩わしい累計をつくりたくないのではないか等考えると落ち込んでしまいます。

　結婚だけがすべてではないことは充分わかっておりますが、今のままだとどこか頼りきれないし、他人行儀な部分が残ります。

　このような年令の者が恥ずかしいのですが、よきアドバイスをお願い致します。

（49歳・女性・会社員）

　このページには、下は小学生から、上はあなたより年上の方まで、様々な年齢の方からの「ご相談」が寄せられています。もちろん、みなさんが抱えた悩みはそれぞれです。ときにかわいらしい片想いの相談もあれば、人生の分岐路ともいえる重い相談もあり……いつも私のような者が“回答者”でいいのだろうかと自問自答しながら、必死に解決策を模索し、こうして書き綴っている次第です。

「このような年令の者が恥ずかしいのですが」なんて、どうぞ思わないでください。

　あなたのご相談ですが……こちらは結婚を意識して、おつきあいをしてきたつもりなのに、彼はなんとなく煮えきらないという状況……不安でいらっしゃることと思います。

　ただ……問題は彼のお子さんではなく、彼自身の気持ちにあるのではないのかしらと私は思います。

　死別した場合、亡くなった伴侶への想いが色濃く残ると、よく言われています。

　離婚による別れは、たいていお互いが納得した上での別離ですが、病気や不慮の事故で愛する人を失うということは、とてつもない喪失感を伴うもの。その哀しみを乗り越えるのは、大変なことだと思います。

　しかし、彼は自分の意志であなたとつきあいはじめ、一年以上も毎週、デートを続けているという現状を考えると……。

　やはり、思いきって一度、結婚について踏み込んだ話をしてみたらいかがでしょうか？

　彼も大人の男性として、あなたのそんな気持ちは多少なりとも感じているはずです。

　彼のお子さんにしても、多感な思春期ならともかく、もう“大人”としてそれぞれの人生観があってしかるべき年齢といっていいかと思います。また、もしも、結婚の障害として遺産等の問題があるのなら、率直に話してもらった方が、あなたもすっきりするのではありませんか？

　49歳はまだまだ女ざかり。まして、ここまで十年もの間、一人で頑張って……生計をささえると同時に子育てもしてきたのです。平均寿命を考えたら、この先長い人生を、愛する人と穏やかな日々を送りたいと考えるのは当然のことです。

　もしかしたら……彼の答えはあなたを傷つけることになるかもしれません……。でも、もしかしたら、あなたが彼の固く閉ざされた心の扉をノックすることで、新しい展開があるかもしれません。

　いずれにしても、頑張り続けてきた今までのあなたの生き様は、あなたにとって大きな力と魅力になっていることと思います。

　彼があなたにとって、安心して疲れた翼を休める暖かな場所となってくれるよう、祈っています。

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