私は教員を目指す１９歳の大学生です。先日、地元の中学校に教育実習に行かせていただきました。そこで出会ったのが私の専攻と同じ教科の先生でした。最初はおもしろくて生徒に人気がありそうな先生だな、くらいにしか思っていませんでした。思ったとおり、先生は生徒にとても人気があり、授業を見学させていただいたのですが、教え方もとても上手でした。普段はおちゃらけていてサッカー部の顧問でもあり、サッカーの話ばかりしていました。私の指導教官は別にいらっしゃったので直接指導いただいたわけではないのですが、時折適切なアドバイスをいただいて何度も助けられました。私が指導案が書けなくて悩んで悔しくて泣いた時も、先生のちょっとした励ましでとても勇気づけられました。

それから先生ばかり目で追ってしまうことに気がつきました。先生を見ているととても幸せな気分になれたし、先生と話すととても楽しかったです。２週間の実習期間はあっというまに終わってしまい、先生ともそれっきりになってしまいました。しかし、つい先日の採用試験で先生と再会できたのです。先生は講師だったので一緒に試験を受けました。しかも苗字が同じだったので受験番号も後ろ前でした。試験の合間にとてもたくさんの話をしました。話していて、先生は普段はおちゃらけてばかりだけど、とても教育熱心で頭が良いことがわかりました。

私はごく普通の世間知らずで勉強もあまりしない学生なので、とても釣り合わないと思いました。試験の帰りは勇気を出して一緒に帰りましょうと誘いました。帰り道、色々話すうちに先生には彼女がいることを知り、本当に本当にショックでした。先生とはもう会う機会はありません。中学校にはまだちょこちょこ顔を出したりしていますが、先生には会えないし発展はないと思います。今先生は３０歳です。（でも見た目は２３歳位に見えます。）だから、もうすぐ結婚してしまうのではないかと思うと本当に落ち込んでしまします・・・私は先生が好きなのか本当のところ良くわかりません。でも毎日先生のことで頭がいっぱいで、先生ともっとたくさんのことを話したいのです。先生のことをとても尊敬しています。私も先生のような教師になりたい！と思います。私は２ヶ月前に彼氏と別れたばかりなので、最初は寂しさを紛らわすような存在なのかな、とも思ったのですが、今は本当に先生に会いたいんです。

告白したいとかではなく会って話して先生のことがもっと知りたいんです。でも彼女がいるしお互いの立場もあると思うとなかなか勇気がでません・・どうにもならないと思っても悩んでばかりいます・・・
こういうものを書くのは初めてなので、文章が下手で申し訳ありません。ただ聞いていただけるだけでもうれしいです。ありがとうございました。

（19歳・女性・学生）

　かつて教師をしていた私も当然のことながら教育実習には行きましたが・・実際に何年も、教壇に立ち、生徒たちと様々な泣き笑いを経験し、何回も涙ながらに卒業生を見送っても、あの教育実習の２週間というのは、なぜか鮮烈な想い出として私の中に残っています。

　あなたも書いているように慣れない「指導案」の作成、見様見まねのはじめての授業、こちらの戸惑いはおかまいなしでひっきりなしに話しかけてくる愛らしい生徒たちとのやりとり・・いきなり「先生」と呼ばれ、本物の先生に混じって、真剣勝負の現場で朝から晩まで過ごすわけですから、それはとても濃厚な時間でした。

　また、実習中は自分自身をさらけださなければならない部分が多いせいか、先生、あるいは同じ実習生と恋に落ちるケースは少なくないようです。おそらく・・正面から向き合わなければならない生徒たち、また素直な気持ちで現場のあらゆることを吸収しなければという思いから、心を全開にしているため、いつもより感情が過敏になっている・・ということもあると思います。

　ちょっとした生徒の言葉がうれしくてスキップでもしたいような気分になったりしているところへ、気になる人の素敵なシーンを見てしまったり、やさしい言葉をかけてもらったりすると、そのヒトがとても頼もしく見えてしまったり・・。

　とても下世話なたとえで申し訳ないけれど・・たとえば、はじめて冬のゲレンデへ行ったスキー初心者の女の子が、親切に手ほどきしてくれるインストラクターの男性に憧れてしまうことってよくありますよねっ。それは非日常的な旅先というシチュエーションにも一因があるのですが、いつか気づくと彼を目で追うようになり、華麗な滑りに目を奪われ、いつしか恋におちている・・。

　そんな淡い恋心と同じなのではないかしらと私は思います。
　あなたの場合は、偶然にも再会してしまったため、憧れが再燃してしまいましたが・・。

　彼の側から考えてみると、講師をしつつ３０歳で教職員採用試験を受けているということは・・もしかしたら、それまで別の職業についていたのだけれど、「教師になりたい」という夢を捨てきれず、人生のやり直しをしているのかもしれません。あなたが危惧している今の彼女との結婚は・・ふたりがどれくらいの期間のおつきあいなのかはわかりませんが、きちんと教員として採用され、経済的に安定するまで、彼女に待ってもらっているということも考えられます。

　あなたが、彼に同じ道をめざす゛先輩゛として話を聞きたいと言えば、たぶん彼は時間をとってくれるでしょう。ただ・・あなたの中に、それ以外の気持ちがあるのを感じとったら、彼は引いてしまう・・こともあるかもしれません。

　と、いうように。様々な選択肢が考えられますが・・あなたは・・どのような道を選ぶのかな？　いずれにしても。「傷の痛みを知る」というのは、教師にとって（もちろん、ほかの職業でもそうですが）不可欠です。

　一度、きちんと、「告白」するか、あるいは・・この思いを胸に封じ込めるしかないかな。
　私情が介在し、支離滅裂になってしまいましたが。心の痛みを知る人間はいい教師になる。
　私はそう思っています。
　
追伸・
　どこかの学校で採用されるといいねっ。
　そうなることを祈っています。
　もしも。
　教師になることが決まったら、連絡してください。

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