こころ相談室

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父のお酒をやめさせたい
 先生はじめまして。67歳の父のことで相談があります。

 去年の秋に肝硬変で入院しました。アルコールによるものです。お酒が大好きでよく飲んでいましたが、暴れたりすることは全くなく、むしろご機嫌になって早く寝てしまうため、まわりに迷惑をかけることはありませんでした。

 このような病気になり、医者に断酒と言われたにもかかわらず、退院して数ヶ月たった頃からまた飲み始めました。家では飲みませんが外出の際に少し飲んでいるようです。やめられないのではなくやめる気がないので、家族の私たちが何を言っても右から左です。

 私は長生きして欲しいので、会うたびに断酒するよう怒鳴るのですが、効き目が全くありません。

 最近は気持ちを変えて、命が縮まっても大好きなお酒を飲める方が幸せなんだと思うようにしています。実際に母はそう思っているらしく、今では何も言わないようです。

 本当にこれでいいのでしょうか?私の中で気持ちの整理がつきません。

(35歳・女性・派遣社員)

回 答
 いくら怒鳴っても、叱っても「効き目がまったくありません」ということですから、そういうことはしないほうがいいんでしょうね。こういうのは怒るほうもストレスをすごく感じますから。

 だから、最近気持ちを変えたのは、あなたにとってひじょうに良いことだと思います。「良いこと」と言うよりも、それが自然なことと言い換えましょうか。お母さんにしても同じようですね。要するに、いい意味であきらめがついたということです。周囲としてはできるだけのことをしているわけで、それでいいのではないでしょうか。

 たぶんお父さんは私と同類の人なんでしょう。私はもう15年以上も健診さえ受けていません。下手に健診を受けて、酒やたばこを禁止されたりでもしたら耐えられませんから。もはや周囲もうるさく言いません。

 そういえば、昔のことですが、私の父親は東北の人なんで、しょっぱい味付けが好きなんですよ。それで、納豆にいつも醤油をどぼどぼとかけるので、いつもやめてくれと言ってたんです。私は薄味じゃないとダメなんで。でもあるときに、父親が「俺はこうしないと食べてる気がしないんだ」とぼそっと言うのを聞いてあきらめました。私にはそれが「生きている気がしない」というふうにも聞こえたんです。


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