インドのお釈迦様や鎌倉時代の親鸞聖人は、自分自身を見つめ悩み抜いたすえに、世の中と人生のありのままの真理に気づきました。そして、その教えは民族や地域、時代を超えて、真剣に生き、悩み続ける人たちの心のよりどころとなってきました。
現代に生きる私たちも、さまざまな出来事に悩み、苦しんでいます。平和を求めながらも争い、豊かさを求めながらも貧しさは拡大しています。
本書では、こうした難題が山積する現代社会を生き抜くための心の持ち方を、浄土真宗本願寺派の大谷光淳門主がその教えに照らして、身近な例えなども交えてわかりやすく説明しています。なによりも「日々の一瞬一瞬を、まずはありのままに受け止めて、そしてひたむきに精いっぱい生きていく」ことが必要だと説き、その思いをガンバ大阪の遠藤保仁選手や弁護士の大平光代さんとの対談で語り合っています。
日々不安と葛藤する私たちの心の支えとなり、生き方が見えてくる一冊です。
私たちは日々、喜びだけでなく、さまざまな出来事に悩み、苦しみながら生きています。仕事上の行き詰まり、人間関係、あるいは病気など……。人生、よいときもあれば、悪いときもあります。どんなときも前向きに安心して生きていける、そんな心のよりどころがあればよいなと思っても、答えはなかなか見つかるものではありません。
そんなとき、どこまでも自分を深く見つめた先人たちの教えは、素晴らしいヒントを与えてくれます。はるか昔、インドのお釈迦さまや、鎌倉時代の親鸞聖人は、それぞれに自分自身を見つめられ悩み抜かれたすえに、世の中と人生のありのままの真理に気づかれました。その言葉は民族や地域、時代を超えて、真剣に生き、悩み続ける人たちの心のよりどころとなってきました。
人はいま、平和を求めながらも互いに争い、豊かさを求めて、かえって貧しさと不安を拡大しています。自分の心の不安だけではなく、社会の矛盾にも翻弄され、私たちはまるで不安の荒海を漂う小舟のようです。このような状況の中でも、振り回されることなく、生き抜くためにはどうすればよいのでしょうか。答えの一つが「日々の一瞬一瞬を、まずはありのままに受け止めて、そしてひたむきに精いっぱい生きていくこと」だと思います。
本書では、心の不安や社会の矛盾に振り回されることなく、「ありのままに、ひたむきに生きていく」という私の思いを語らせていただきました。強くなくてもいい。力がなくてもいい。悩みは「生きるよりどころ」を見つけ出す糸口にもなります。
いま、さまざまな悩みをかかえておられるお一人おひとりにとって、この小さな本が、大きな喜びと幸せへのきっかけとなることを願ってやみません。
1977年、京都市生まれ。浄土真宗本願寺派(本山・本願寺)第25代門主、本願寺住職。法名は釋専如(しゃく・せんにょ)。第24代門主大谷光真(釋即如)の長男として生まれ、2000年、法政大学法学部卒業。2005年、龍谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得。龍谷大学文学部非常勤講師、中央仏教学院講師を経て、2008年、本願寺築地別院副住職。2014年6月、法統を継承し門主となる。門主就任を阿弥陀如来と宗祖親鸞聖人に告げる伝灯奉告法要を、2016年10月1日から2017年5月31日まで本山で10期80日にわたって80座営む。
1980年、鹿児島県生まれ。鹿児島実業高等学校卒業後、横浜フリューゲルスに入団、京都パープルサンガを経て、2001年、ガンバ大阪に加入。「国際Aマッチ出場数最多記録保持者」「2009年アジア年間最優秀選手」「2014年JリーグMVP」など多くの記録を持つ。2014年のガンバ大阪三冠に貢献。
1965年、兵庫県生まれ。29歳で司法試験に一度で合格、弁護士として活躍。非行少年の更生に尽くし2003年から05年まで大阪市助役。40代で浄土真宗本願寺派の中央仏教学院通信教育部専修課程を卒業。